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挾土秀平(はさど・しゅうへい)氏
職人社 秀平組代表、左官技能士
地方創生×職人技
僕が住んでいる飛騨高山の山村には
築100年の旧家が建っている。
平たい切り妻屋根をもつ母屋と土蔵の周囲に
石垣が巡り、背後には檜の木々が並ぶ山が
手前には水田が広がる。
日本らしい風景だ。
ところが
隣に北欧風の外観をまとったプレハブ住宅などが建った瞬間
日本らしいその景観は成立しなくなってしまう
昔ながらの景観として脚光を浴びる観光都市が
実はペンキ塗りのハリボテで古さを演出しているという風景も珍しくない。
こうした変化を見つめ続けるうち
僕たち職人は
景観をつくってきたのだと気付いた。
職人が手掛けた塗り壁や
大工が丁寧に建てた家が景観を育んできたのだ。
《中略》
かつての日本は
海外の人から「素材の国、水の国、日本」と称賛され
お金では買えない価値があると評価されてきた。
こうした評価は
行政が旗振りをすれば得られるというものではない。
素材感や微妙な色合いを理解する「目利き」が重要な役割を果たす。
また、昔ながらの職人は
伝統の技を現代の感覚に合わせて使うことが苦手なので
デザイナーと職人の間に入って通訳するような
“職人プロデューサー”も必要だろう。
僕は、地域の職人を集め
地域の素材を使ったまちづくりのプロデュースをしてみたいと思っている。
今すぐ始めないと間に合わないという危機感を強く抱いている。
職人が減り
職人の技の素晴らしさを理解できる人も減っていく。
やがて職人は消え
まちや国の風景も無国籍に変わってしまい
「景観」という地域独自の財産は失われてしまうのではないかと
危惧している。
新・公民連携 円卓会議2016
NIKKEI BP 総合研究所 より抜粋。
http://www.nikkeibp.co.jp/ppp/
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地域の小さな工務店ではありますが
職人の技にはいつも感謝ばかりです。
大工職人、左官職人、とび職人を始め
ありとあらゆる職人さんが技術を出し合い
ひとつの家を創り上げます。
職人の技術や知恵は
家だけではく地域の景観を創ることにも繋がっていたのですね。
未来の子ども達のために
循環型建築社会の構築を目指すことは
日本の景観を取り戻すこと。
この日本の本当の景観を
未来の子ども達に見てもらわなければ
今日もありがとうございます